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2012年7月15日 (日)

スタディツアー

スタディツアーに参加したので、そのことについて書きます。
かなーり長文になってしまいましたので、覚悟して読んでください

エチオピア南部地域への一泊二日のスタディツアーに参加しました。
主催は「アフリカ理解プロジェクト」というNGOです。

南部地域と言っても、アジスアベバから270km程度なので、車で3、4時間くらいでしょうか。
訪問したのは、ナザレット、ファンターレ、メタハラという地域です。

そこで牧畜民の生活というものを、初めて詳しく知りました。

牧畜民は、広い土地を使って放牧している。
乾季の間、草を食べさせながら(草がなくなったら)移動していく。この間、全く雨は降らない。

雨季の直前が一番草が少なくなって苦しいとき。
川の近くで緑が比較的ある土地に移動して、放牧をする。
この土地はとても大切だけど、この時期にしか放牧しない。

農家は畑は雨季しか使われず、乾季には使っていない。
乾季には、牧畜民に畑の上に放牧してもらい、牛の糞を落としてもらい、
畑を肥えさせる、という共生もある。

放牧に使う土地は、牧畜民の所有する土地もあれば、そうでない土地もある。
これまでは問題なく土地を移動して放牧することができていた。

でも、状況が変わってきている。

政府や民間が広大な土地を買い上げてサトウキビ畑などの大規模農場にする。
どの土地を使うかを測量するのは、たいてい乾季なんだそう。
牧畜民は、乾季には川近くの緑豊かな土地では放牧をしていないため、
その土地は誰にも利用されていない土地に見える。
かくして、その土地は柵で囲まれ、放牧できない土地となる。

農家は雨季にしか農業をしなかったが、品種改良や新しい農業を取り入れることで
一年中、畑を使うことになる。
そうして、牧畜民は乾季の間に、畑に放牧することができなくなる。

放牧によりよい土地を求めて、これまでと違う場所へ移動しようとすると、
そこは既に誰かの土地であり、境界線問題が発生するため、移動することもできない。

牧畜民が所有している土地であっても、大規模農場を作るために政府に買い取られ、
別の場所へ移住せざるを得ないこともある。
すると、やはりそこも誰かの土地で、衝突が起こることになる。

加えて、政府は牧畜民に定住措置をとるようになっている。
(たくさんの草を求めて移動ができないので、飼える家畜の量が減るのでは)

こう書いてみると、踏んだり蹴ったり。
でも、これが現実なんだそうだ。

定住しているカラユの牧畜民の家。

20120714_5104

中にも入らせてもらった。中は意外と広く、居間、台所、寝所の3部屋に分かれている。

20120714_5102

このような牧畜民を支援するNGOがある。
彼らは、カラユ牧畜民の教育支援をしている。

家畜を市場に連れて行って売るときにごまかされないため。
家族の中から牧畜以外の収入を得ることができる人を育てるため、
子供が高等教育を受けられるようにするため。
牧畜民が自分たちの力で、自分たちの未来を切り開いていけるようにするため。

NGO主催の中学生を対象にしたエッセイコンテストを参観した。
中学校の敷地内で開かれていた。

日頃思っていることをエッセイとして書き、それを読み上げるというもの。
それとは別に演劇仕立てで、カラユ牧畜民の伝統的な衣装の説明や、生活様式の紹介をする。
親御さんたちも参観に来ており、学習発表会の様相となっている。

エッセイってどんなもの?と思う方。こちらをご覧ください。過去のエッセイの原稿があります。
http://africa-rikai.net/projects/essay_contest2_1stPrize.html

女子生徒による歓迎の歌と踊り。
歓迎なのにふてくされた表情だなー、と思ったら、
カラユ牧畜民の女性は人前で微笑みかけてはいけないんだそう。
媚びてることになるんだって。

20120714_5033

カラユ牧畜民の賢人が兄弟間の問題を解決する、という演劇。
なかなかの熱演です。感情豊かに身振り手振りで演じていました。

20120714_5041

スタディツアーに参加して別の方もおっしゃってましたが、
エチオピアに来て「演劇」というものに初めて触れました。

聞いたところによると、現在の政権になってから演劇というものは禁止(?)され、
ダンスや歌を見せる舞台はあるけれど、演劇の上演はない、というのが現状。

演劇やミュージカルが大好きな私は、そんなエチオピアの状況が残念でした。
でも、こうしたところで演劇が見られて、とても嬉しかったです。

☆☆☆

スタディツアーのもう一つのメインは、JICAの技術協力プロジェクトである
FRG(エチオピア農民研究グループを通じた適正技術開発・普及計画)です。
http://www.jica.go.jp/project/ethiopia/001/index.html

エチオピアには、農業の「研究員」と「農業普及員」そして「農民」がいます。

構造としては、
 研究員は農業の課題に応じた研究を行い、
 農業普及員が研究成果を農民へ普及し、
 収穫量が上がる/農民の収入が上がる、
ということになっています。

ですが、もちろんそう簡単には行きません。

研究員は、研究することには熱心だけれども、論文を書くことが本務で、
成果を普及させることそのものには熱心ではない。
農業普及員は、農民へ普及するための教材がないので、どう農民に教えればよいのかわからない。
農民から見れば、農業普及員は役に立つ情報をくれない。今までどおりのやり方でやる。

そして、研究はされども現場の農民まで届かない、という現状があるんだそうです。
日本で「研究」と名の付く職種だった自分にも、身に覚えのある構図です。

このプロジェクトでは、とっても平たく言うと、
研究員に、農民に役に立つ研究というものを実際に経験してもらい、
それをモチベーションに、また役に立つ研究をやろうと思ってもらう、
というのを目的にしているんだそうです。

どうするか。
農民に役に立ちそうな研究を選び、それをがっつり農民、農業普及員と組んで、実際に適用してみる、というものです。
そして、上手く行かなければ、なぜ上手く行かないのか、農民が望んでいることは何か、というのを探っていくんだそうです。
最後の仕上げは、上手く行ったことを普及用の教材としてまとめ、農業普及員がそれを使って別の農家へ普及していくこと。
普及するときには、既に上手くいった農家の方が成功例として、やり方を説明することもあるんだそうです。

それぞれの適用で大事なことは、
エチオピア全体を良くする、というような大きなことをやるのではなく、
特定の農家・地域の役に立つ研究にすること、
そして、初めから普及用の教材を作ることを念頭に置いて進めて行く、
ことなんだそうです。

スタディツアーでは、研究を行っている農業試験センターと、
このプロジェクトから支援を受けた農家の見学に行きました。

農家さんは、このプロジェクトに感謝していること、収入が増えたことを語ってくれました。
そして、支援を受けて、今の収入源となっている畑や家畜を見せてくれました。

20120715_5166

種子を育てて、それを売っています。質のいい種子は高く売れ、信用もあるんだそうです。

20120715_5171

JICAとは別のプロジェクトで日本で研修を受けたんだそうです。
そのときに学習した、小さな土地でもいろんな種類の木を育てられる、ということを実践して、
パパイヤやコーヒーの木、いろんなものを植えています。
一種類だけだと、収穫時期が年1回になってしまいますが、いろんな種類の木を植えることで、
一年を通して、売るものがあり、現金収入を得られるんだそうです。
場所的には、完全に「裏庭」なんですが、この小ささでも収入が得られるとはちょっと驚きでした。

20120715_5173

外国産の牛と上手くかけあわせることで、必ずよい乳牛ができる、という研究があるんだそうです。
それを実践して生まれた牛です。

20120715_5201

これで収入があがり、今まで藁ぶきのきのこ型のおうちだったのが、
土壁のトタン屋根のおうちを建てることができたんだそうです。
そして、子供たちを大学へやることもできたんだそうです。

上手く行った農家さんばっかりではないと思いますが、こういう農家さんがいるということは、
研究員から見ても、モチベーションの上がることだろうな、と思います。

せっかく、エチオピア人による良い研究があるのだから、
エチオピア人の手でエチオピアの農家の収入を上げることにつながって行けばいいなと思いました。

☆☆☆

スタディツアーに参加して思ったことは、実際の現場を見てみなくちゃ、実感できないということです。

ツアーに参加する前は、「牧畜民は困難な状態に置かれている」という言葉を見ただけでは、
具体的なことは何も想像できませんでした。
でも、実際にカラユ牧畜民の住む地域や住まいを拝見し、エッセイコンテストを見て、
スタディツアー主催者の方から、詳細な説明をいただいたことで、
以前よりは具体的に「困難さ」を想像できるようになったと感じます。

それから、エチオピア国内の問題も、私たち日本人に関係があるんだということを知りました。

「世界はつながってるから、どこかの国の問題は回りまわって私たちの国にも影響がある」
というのは頭ではわかっていましたが、実感がありませんでした。

以前、植物性代替燃料がもてはやされたことがありました。
エチオピアの農業試験センターでは、燃料となる植物の研究を行ったそうです。
ですが、植物性代替燃料は普及しませんでした。そのため、その植物の研究は現在は行われていません。
でも、その時に植えられた木はそのまま残っていました。

上手く言えませんが、その木を見て、世界はつながってるんだ、と実感しました。

このスタディツアーは、想像することしかできなかった事柄に、
実感を付け加えてくれるものになりました。

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